中世まで「利子を得る事」は罪悪とされていた――「お金」が動かす世界の歴史!
文明ごとに違った貨幣や紙幣の価値や、東インド会社と株式、
コーヒーと保険の関係など、
世界を動かした様々な「お金」の発生と発展を、
六つの章に分けてわかりやすく紹介!
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※本文抜粋※
◆第一章 世界の文明とさまざまな「お金」 2 地中海世界に広がるコイン
【インドのコインの起源】
インドの最古のコインは、ペルシア人のアケメネス帝国の東部諸州で
紀元前5世紀から前4世紀に発行されたコインとされている。
コインは模倣され、コピーされてインドの各地に広まった。
そのコインは両面ではなく片面だけに刻印を打つ銀貨であり、そのかたちもさまざまだった。
同時にインドでは、鋳型に入れて鋳造する四角の銅のコインがつくられ、
それを変形させ打刻したコインもつくられた。
インド圏の「お金」の単位は「ルピー(rupee)」だが、
ルピーはヒンディ語で「銀貨」を意味するルピアの英語化された呼び名である。
インドのほか、パキスタン、ネパール、スリランカでもルピーの呼び名が用いられ、
インドネシアのルピア(rupiah)も同系列である。
「お金」からインド文明圏の広がりを理解することもできる。
インドでは地域ごとに異なる300種類以上の「お金」が流通していたが、
1835年にイギリス東インド会社が
ルピー銀貨を標準的な「お金」としてインド各地に流通させ、貨幣制度を統一した。
◆第二章 膨張する「お金」と投資と投機 7 ロンドンではじまった近代保険と近代銀行
【コーヒーハウスからはじまった海上保険】
保険については、コーヒーと「コーヒーハウス」から話をはじめなければならない。
コーヒーを飲む習慣は17世紀にイスラーム世界からヨーロッパに伝播し、またたく間に各国に普及した。
コーヒーハウスは、人々が談笑したり、論議をしたり、
くつろいだりする場として繁盛したが、しだいに情報交換の場としても活用されるようになり、
政治活動など各種の集会の場としても利用されるようになった。
ロンドンの世界有数の個人会員制船舶保険業者集団ロイズは、
17世紀後半にロンドンの港の側に開かれたロイズ・コーヒー店からはじまる。
当時の航海は多くの危険に満ちており、リスクを回避するために船舶保険が必要になった。
そこで、船の所有者、保険業者、船を雇った商人などがコーヒー店に集まって、海上保険の取引を行った。
コーヒー店主ロイズが1713年に死ぬと、コーヒー店から保険業務が自立し、
保険引き受け業者たちが船舶保険業者集団「ロイズ」を結成した。
18世紀はイギリスが世界各地に海外拠点をもつようになっており、ロンドンに航海情報が集中した。
航海の危険率の予想の精度が高まると、海上保険におけるイギリスの優位は不動のものとなった。
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※本書は角川学芸出版・平成21年4月25日発行「知っておきたい「お金」の世界史」のiPhone/iPadアプリ版です。